テープ製造現場における粘着トラブルの解決|プラズマコーティング
テープ製造ラインにおける粘着剤付着
テープやラベルの製造ラインでは、製品の粘着剤が機械部品に付着することで様々な問題が発生します。例えば、ローラーやガイドに接着剤が溜まると正常な搬送を妨げ、生産ラインを止めて清掃しなければなりません。その結果、清掃作業の負担が増大し、計画外のライン停止による設備ダウンタイムが蓄積します。

また、ローラーに付着した粘着剤が製品に転移すれば品質不良を招き、歩留まりの低下や追加の手直し作業につながります。粘着剤汚れの除去には溶剤洗浄やスクレイピングが必要となり、作業者の負担や設備へのダメージも無視できません。このように粘着剤の付着はテープ製造現場における大きな課題となっており、効率的な対策が求められています。
一方、従来のテフロン等のフッ素コーティングでは中々求める非粘着処理・離型性が発揮できないケースもあり、また耐キズ性や耐久性も最も過酷な環境下では足りないなどテープ製造業界では採用が難しいケースもございます。以下は従来コーティングの代表的なお困りごとの一例です。
- 熱硬化型フッ素コーティング施工時の加工歪みが許容できない。
- テープや糊など粘着性が高い物質に対しては、非粘着性・離型性が足りない。
- キズや摩耗により一部コーティングが剥離すると効果がなくなる、全面剥離につながる。
粘着トラブルの解決にプラズマコーティング

弊社では業界トップクラスの非粘着・離型コーティング「プラズマコーティング」により、これらの従来コーティングのお困りごとを解決できることから、「非粘着・離型処理」の決定打として、グローバルテープ製造メーカーをはじめとして長年採用していただいており、生産ラインの生産性寄与に貢献してまいりました。
プラズマコーティングとは、米国プラズマコーティング社が開発した離型性コーティング技術です。1969年の創業以来、米国デュポン社やダウケミカル社との共同開発による特殊離型材料を用いて優れた離型コーティングを次々と開発してきた、離型コーティング分野のパイオニア企業による技術であり、日本国内でカンメタエンジニアリングが唯一の施工代理店として施工を行っています。
プラズマコーティングは、基材表面に粘着物が付着しにくい皮膜(非粘着・離型性)を形成すると同時に高い硬度・耐摩耗性など機械的耐久性も両立できる点が特徴です。これにより、粘着剤が付着して部材に汚れや製品不良を引き起こすのを防ぎつつ、長期間にわたり皮膜性能を維持することが可能です。
さらにプラズマコーティングは常温硬化型の工程もあり、熱硬化型フッ素・テフロンコーティングのデメリットである「焼成時の加工歪み」を与えない仕様も多数ございます。尚、アルミニウム、鉄、CFRP(炭素繊維複合材料)、エンプラなど様々な材質に施工できる柔軟性も大きな強みとなっております。
テープ製造業で使用されるプラズマコーティング
プラズマコーティングには、用途や求める特性に応じて複数の標準仕様シリーズがあります。中でも「PC-900シリーズ」「PC-11000シリーズ」「PC-12000シリーズ」は、テープ・ラベル製造業でよく使われる代表的な仕様です。それぞれの主な特徴と利点を以下にまとめます。
| シリーズ | 主な特性 | 用途例・選定のポイント |
|---|---|---|
| PC-900シリーズ | 粘着剤やゴムの付着を防ぐ優れた離型性を持ち、最適な表面形状と安定したウェブ走行性も発揮します。またカッター傷などの耐久性にも優れる仕様です。 | テープ・ラベル製造ラインの離型コーティングとして最適。既存ロールへの出張施工が必要な場合や、粘着剤付着防止と同時にロールの駆動力(グリップ)も確保したい用途に向いています。例:カッター後のトリム搬送ロール、接着剤塗布機の駆動ロールなど。 |
| PC-11000シリーズ | 粘着剤やゴムの離型性に優れ、高いウェブ搬送・グリップ性能と優れた非粘着性を兼ね備えています。ウェブの蛇行制御も良好で、粘着シート搬送時に安定した走行を維持します。 | 高負荷環境や長期間の耐久性が求められる用途向けの離型コーティングです。例えば、摩耗が激しい巻き取り・繰り出しロールや、高速で回転する搬送ロールなどに適しています。粘着剤だけでなくゴムの付着も問題となるラミネート装置等でも効果を発揮します。 |
| PC-12000シリーズ | 粘着剤の付着を防ぐ優れた非粘着性とウェブ搬送に必要となる適したグリップ力を発揮する仕様となります。 | 高い非粘着性が求められる厳しい条件下でも長寿命を発揮する非粘着コーティングです。溶剤系接着剤や強力な粘着剤を扱う工程で、薬品への耐性が必要な場合にも適しています。例:塗工機のガイドロール(溶剤系粘着剤が付着する可能性がある場合)や、高張力フィルムの引取りロール(機械的負荷が高い場合)など。高い耐久性と離型性能が両立するため、メンテナンス頻度を極力抑えたいラインに最適です。 |
上記のように、テープ製造やラベル加工の現場では扱う粘着剤の種類(ホットメルト、溶剤系、アクリル系など)や装置条件に応じて最適なシリーズを選定できますが、いずれのシリーズも「トップクラスの非粘着性✕高耐久性」という基本機能は共通しており、世界中のテープ製造ラインで標準的に採用されている実績あるコーティングです。実際の仕様選定は当社によるヒアリングを通じて実施させていただきますので、必ずご相談をいただきますようお願いいたします。
プラズマコーティングは、粘着剤や樹脂が付着して生産工程に支障をきたす問題に対し、非粘着(離型)性と耐久性を兼ね備えた表面処理として高い効果を発揮します。テープ製造やラベル印刷、衛生材料加工といった幅広い分野の採用実績が多数あり、目的に応じて最適なコーティング仕様(900シリーズ・11000シリーズ・12000シリーズ等)を選択することで、「付着しない」だけでなく「生産性も高める」表面処理を実現できます。粘着物の付着トラブルでお困りの際は、本稿で紹介した非粘着コーティング技術の活用をご検討ください。

