チタンの基本的性質

チタン(Ti)は、軽量かつ強靭であり、さらに優れた耐食性を持つ金属として知られています。鉄やアルミニウムと比較して比強度(強度/密度)が高く、航空宇宙・化学プラント・医療分野など多岐にわたり利用されています。

性質数値(代表値)備考
原子番号22遷移金属
密度約4.5 g/cm³鉄(7.9)より軽い
融点約1668 ℃高耐熱性
引張強さ(純チタン)約240–550 MPa合金でさらに向上
ヤング率約110 GPa鉄(210)より低い
電気抵抗率約42 μΩ·cm導電性は低い
熱膨張係数約8.6 × 10⁻⁶/K鉄やニッケルより小さい

特徴的なのは比強度の高さと耐食性です。軽量でありながら強度を確保できるため、構造材としての有用性が非常に高い一方、加工難易度が高いという側面も持ちます。

チタンの耐食性

チタンは、海水や酸性・アルカリ性溶液、さらには強酸環境においても優れた耐食性を示します。この性質により、化学プラント、海洋構造物、発電所の復水器管、医療用インプラントなどで広く採用されています。

耐食性が発揮される主な環境

  • 海水環境:塩化物イオンによる孔食に極めて強い
  • 酸性環境:硝酸・有機酸に対して安定
  • アルカリ環境:苛性ソーダ溶液にも耐性あり
  • 酸化環境:高温酸化にも強く、酸化皮膜が安定

ただし例外的に、フッ化水素酸(HF)や高温濃硫酸などでは腐食が進行するため、使用環境には注意が必要です。

チタンが耐食性に優れている理由

チタンの耐食性は、その表面に自然形成される酸化チタン皮膜(TiO₂)に起因します。

酸化皮膜の特性

  • 自己修復性
    表面が損傷しても、酸素や水分に触れることで瞬時に再生します。
  • 緻密さ
    酸化皮膜は数ナノメートル〜数十ナノメートル程度と非常に薄いが、極めて緻密でイオンや電子の透過を阻止します。
  • 化学的安定性
    酸化皮膜は広いpH領域で安定しており、化学反応に巻き込まれにくい性質を持ちます。

このため、チタンは「不働態化金属」の代表例として知られています。鉄やステンレス鋼も不働態皮膜を形成しますが、チタンの皮膜はより安定かつ再生能力が高いため、長期的に優れた耐食性を維持できます。

チタン特性を機器に付与できる、カンメタエンジニアリングの防食溶射技術

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